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株のこれからの変化

対外資産をためるか否かについては単に好き嫌いの問題であって、善し悪しの問題ではないということを強調しておこう。 同じ量のケーキと酒の両方をもらった甘党と辛党が、ケーキと酒を交換して、それぞれ自分の好みの物を増やしたからといって、どちらが偉いということもないであろう。
現在財と将来財もケーキと酒のようなものである。 それでは、対外資産の量や正負は、政府の行動にはまったく影響を受けないのであろうか。
完全雇用期に政府が多額の公共投資を行い、そのため政府支出を含めた国全体の支出が増えれば、経常収支の黒字幅は減少し、そのため対外資産の黒字幅も減少するであろう。 そうであっても、日本人の現在の消費に対する将来の消費への選好が、外国よりも強いかぎりは、経常収支の黒字幅が減少しても、長期的に赤字基調にまでなるということはない。
各個人が現在の消費よりも将来の消費を重んじているかぎりは、相変わらず今はためて将来のために資産を残そうとするからである。 以上に述べた経常収支黒字幅の減少の可能性は、政府が公共事業として実際に物を使う場合であって、単に国債の累積額が大きいとか、財政出動を減税で行うとかいうことでは起こらない。
すでに明らかにしたように、国債累積額が大きくても、また減税を行っても、日本国内の納税者から国債保有者、あるいは納税者から減税対象者にお金が回るだけであって、対外的には何の影響もないのである。 さらに、公共事業が外国製品の購入をともなわず、不況期に自国の失業者を活用して行われるのであれば、黒字幅の減少効果はないであろう。

その理由は、公共事業による支出の伸びが、国内生産の伸びによってまかなわれるため、需要の増大分か国内の供給増大によってちょうど相殺され、対外収支には影響が出ないからである。 この点、完全雇用期には、供給は国全体の生産能力の限界に来ているため、公共事業によって国全体の総需要が増えれば、その分だけ外国からの輸入が増えて、対外収支が悪化することになる。
注1競争力の強い良質の製品を作る国は、輸出競争力があるために黒字国になり、品質の悪い製品しか作らない国は赤字国になるといった論調を時見かける。 まったくの誤りであり、国際経済の授業で間違いの典型的な例として、よく引き合いに出される。
ここは、国際経済のメカニズムを解説する本ではないため、この点についてこれ以上は立ち入らないが、この点に興味のある読者には、野口旭著『経済対立は誰が起こすのか』(ちくま新書、1998)に明快(痛快?)な解説がある。 お金の側面から見た将来世代の負担国債発行にともなう問題として、もっとも強く指摘されるのは、「将来世代の負担」ではないだろうか。

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